【AID当事者支援会】

精子提供とは

精子提供

精子提供とは、夫以外の第三者の精子提供により人工授精や体外受精などを行う治療です。

精子提供における日本の現状

従来夫が無精子症である夫婦に利用されてきましたが、最近はLGBTの方の利用も増え、シングルの女性の方の利用も出始めています。

日本ではDC(精子提供・卵子提供・代理出産等)を規制する法律はありません。
しかし日本産婦人科学会のガイドラインにより、精子提供を用いた体外受精と卵子提供の実施は禁止されています。(つまり人工受精による精子提供のみ認められています。)
日本の病院のほとんどは日本産婦人科学会に所属している為、そのガイドラインに違反する精子提供の体外受精を実施してはくれません。

JISARTについて

その中でも特例とされているのはJISARTという団体に所属している30の病院です。
審査を通ればドナー精子を使った体外受精が可能とはなっています。しかし、
①治療の価格が高額なこと
②治療までに1−2年もの時間がかかること
③カウンセリングなどの審査が厳しいこと
④ドナーを自分で調達する必要がある場合がほとんどである
などの現状のせいで、実際の治療件数はかなり少ないのが実情です。
LGBTの方の治療も受け付けていません。

関連用語
  • 【AID(Artificial insemination with donor’s semen)】
    正しくは精子提供による人工授精のことを意味しますが、体外受精を含め精子提供全般を指して使われていることもあります。
  • 【DC(Donor Conception)】
    第三者の精子・卵子・胚を使った生殖補助医療や代理出産の事を意味します。
  • 【DI(Donor Insemination)】
    精子提供のこと。DI児は精子提供で産まれた子供を指す。
精子提供の治療の選択肢
1)国内人工授精(AID)

日本で唯一日本産婦人科学会が実施を認めている精子提供の方法です。
AIDを実施している病院にて治療を行います。
ドナー精子は病院が準備してくれます。
匿名ドナーによる治療の為、産まれてきた子供の出自を知る権利は認められていません。

2)国内体外受精

人工授精で妊娠できなかった場合のステップアップとして行いたい国内での体外受精ですが、日本では実施が非常に困難なのが実情です。
ただ公にはしていなくとも、実施してくれる病院がある場合があるので、探してみることも可能です。

3)身内間での精子提供

夫の兄弟や父親等の身内から精子の提供を受け治療を行います。

4)ドナーバンク

海外の精子バンクから精子を購入し、病院での治療が可能です。
しかし日本人ドナーの調達は難しいのが現状です。
非匿名ドナーからの提供が可能なため、子供が将来ドナー情報にアクセスすることが出来ます。

5)海外での体外受精

台湾などの海外で精子提供を受け体外受精を行います。
匿名ドナーでの治療が基本ですが、ドナーの身体的特徴などを事前に希望を伝えることが出来ます。

6)個人間精子提供

ネットなどを使い個人間でドナーを探し精子提供を受けます。
この場合、非匿名ドナーも多いので、将来ドナーと子供が連絡を取ることも可能かもしれません。
しかしながら、相手が信用のおける相手か見極めることが困難なためトラブルも発生しています。
又、ドナー自身が、予め病気がないと病院で診断を受けて証明書をくださることもありますが、提供してもらう時点では発覚していなかった重篤な遺伝性の病気が発覚した場合などのリスクが伴います。
ドナーと子供に血縁関係があると証明されれば、法律上親子関係が成立し、養育権が発生してしまう為、将来トラブルになる可能性も考えなければなりません。

※LGBTの方の場合は、1)と2)の国内の病院で第三者の精子提供による人工授精と体外受精については実施が難しいのが現状ですが、それ以外は選択肢としては同じです。

卵子提供(参考)

卵子提供とは、自身の卵子による妊娠が望めない場合に、卵子ドナーによる提供卵子と夫の精子を体外受精させ、自身の子宮に戻す方法です。

卵子提供における日本の現状

日本ではDC(精子提供・卵子提供・代理出産等)を規制する法律はありません。
しかし日本産婦人科学会のガイドラインにより、卵子提供の実施は禁止されています。
日本の病院のほとんどは日本産婦人科学会に所属している為、そのガイドラインに違反する卵子提供を実施してくれる病院はほとんどないのが現状です。

JISARTについて

その中でも特例とされているのはJISARTという団体に所属している30の病院です。
審査を通ればドナー精子を使った体外受精が可能とはなっています。しかし、
①治療の価格が高額なこと
②治療までに1−2年もの時間がかかること
③カウンセリングなどの審査が厳しいこと
④ドナーを自分で調達する必要がある場合がほとんどである
などの現状のせいで、実際の治療件数は少ないのが実情です。
LGBTの方の治療も受け付けていません。

卵子提供の治療の選択肢

日本産婦人科学会が卵子提供を禁止している為、現状日本で卵子提供を行うのは難しい状況です。ただ、若くして卵巣機能が低下したことが原因である場合で、更に姉妹間・従姉妹などからの卵子提供を受けられる場合はJISART登録病院での治療も可能です。

実際は台湾などの海外にて卵子提供を行うケースが多いようです。